VIXの意味を3つのポイントで解説!
若手のうちに知っておきたいビジネス用語耳で楽しむ日経2021年9月1日 10:00
①正式名称はVolatility Index(株価変動率指数)で、読み方はビックス。投資家が米国の株価の先行きについて、どれほどの振れ幅(ボラティリティー)を見込んでいるのかを指す指標で、恐怖指数とも言われます。数値が高いほど、相場が今後大きく乱高下するとみている投資家が多いことを示します。
②VIXが20の場合は、「株価が今後1年間に7割ほどの確率で上下20%の範囲で変動する」と投資家が予想していることになります。通常の相場であれば10~20の間で推移し、20を超えると不安心理が高まっていると解釈されます。日経平均株価を対象とした同様の指数は「日経平均ボラティリティー・インデックス(VI)」と呼ばれます。
③米シカゴ・オプション取引所がデリバティブ(金融派生商品)の一つのオプション取引の価格をもとに算出します。VIXの上昇が株安を招くことがあり、不安定な相場を解説する記事の中でよく登場します。2018年2月には米長期金利の上昇に端を発し、VIXの急激な上昇が株売りを誘う「VIXショック」が発生し、米相場を大きく揺らしました。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO26693510Y8A200C1FF2000/?unlock=1
「VIXショック」米相場揺らす 変動指数の暴騰、株売りを誘発
個人にも損失海外2018年2月8日 20:00 [有料会員限定]
【ニューヨーク=山下晃】米国株式相場の大幅な下落を引き起こしたのは予想変動率を示す「VIX指数」だった。市場のリスクを測るための指数が投資商品と化して投資マネーを集めた結果、本来の役割から逸脱。リスク計測に活用していたファンドの想定外の株売りを誘発した。世界の株式市場を揺るがした「VIXショック」につながり、関連商品を保有していた個人投資家にもその損失が広がった。
VIX指数とは米国株が将来、どれほど激しく変動するかを測る指数だ。投資家が株価の先行きに楽観的な時は低下し、警戒心が高まると上昇する傾向にあるため「恐怖指数」とも呼ばれる。
日欧米の中央銀行の量的緩和政策により株式相場は波乱が減り、世界的に市場は「なぎ状態」が続いた。このため、VIX指数が下がれば収益があがる「VIXの空売り」が人気化。VIX指数を空売りする、コンピューターを駆使したアルゴリズム取引が流行した。
VIX指数が上昇を始めた5日、同指数の下落にかけて空売りをしていたマネーは損失覚悟で買い戻しを迫られた。様々な金融商品を通じて広がっていたマネーが逆流し、18台で推移していたVIX指数が一気に40近くまで急騰した。
これが5日にダウ工業株30種平均を一時1600ドル近く下落させた引き金となった。VIXなど相場の予測変動率を、リスク測定のシグナルとして使う投資戦略が広がっていたためだ。
これに拍車をかけたのが、アルゴリズムで価格やリスク度を測定管理する「リスクパリティ(均衡)ファンド」の普及だ。金融業界では金融危機時に株や債券、商品などすべての資産価値が一斉に下落した反省から、リスク分散を強めるため、同ファンドが利用されるようになった。バークレイズによると、予測変動率をリスク測定に使って運用される資金は5000億ドル(約55兆円)もの規模に達する。
この資金群にVIX指数の上昇が「売りシグナル」を送り、株式相場の暴落につながった。ただ、いまだに株価の値動きが激しいことが示すように「リスクパリティファンド」などがリスクを低下させるための売り圧力は、まだ終わっていないとの指摘は多い。
バークレイズでデリバティブ(金融派生商品)投資戦略責任者を務めるマネーシュ・デスパンデ氏は6日時点で「今後、数日間かけて2250億ドル(約25兆円)規模の株式を売る必要がある」との見方を示した。
影響は個人投資家にも及ぶ。なぎ状態の市場環境が続いていたため、VIX指数に個人が投資できる金融商品も続々と登場。調査会社モーニングスターによると、VIX指数が下がると価値が上がる上場投資商品の運用総額は34億ドル(3700億円)を超えていた。日本でも同様の商品が販売されている。
だが、VIX急騰で運用が難しくなったとして、野村ホールディングスの欧州グループ会社や金融大手クレディ・スイスは、購入者が損失を抱えたまま、関連商品を償還することを決めた。
「あの急落の10分間は思い出したくない」「強制的に償還されるなんて知らなかった」――。8日も米ネット上には、大きな損失を抱えた個人投資家の書き込みがあふれていた。
https://moneyworld.jp/news/05_00040073_news
「恐怖指数」VIX指数とは コロナショックで80超え、目安や長期時系列チャートも紹介
最終更新 2020/11/27 11:00日経平均株価S&P500リーマン・ショック恐怖指数VIX指数日経平均VIコロナショック米株市場用語再点検金融コラム
【QUICK Money World 辰巳 華世】リーマン・ショックや新型コロナショックなど、世界経済を揺るがす出来事で株式相場が急落すると注目される指数があります。新聞などで「恐怖指数」と紹介されているVIX指数で、相場の先行きに対する警戒感を数値化したものです。
■VIX指数とは何か、株式相場との関係は?
VIX指数は、「Volatility Index(ボラティリティ・インデックス)」の略語です。VIX指数は米国株を対象とした指数で、投資家が株価の先行きにどれほどの振れ幅を見込んでいるかを示す「株価変動率指数」です。ボラティリティとは金融用語で価格の変動性のことです。先行きの値動きが荒くなる、ボラティリティーが高くなると見る投資家が多くなると、VIX指数は上昇。相場の膠着状態が続く、ボラティリティーがあまりないと見る投資家が多くなると、VIX指数は低下します。つまり、VIX指数が高いほど、株式相場の急な下落や急な上昇が起こる可能性が高く、VIX指数が低いほど、株式相場が安定しており、株価の急な下落や急な上昇の可能性が低いと言えます。
VIX指数は通常10〜20の範囲内で動くとされ、30を超えてくると警戒領域と判断されます。2020年3月の新型コロナショックの相場急落局面でのVIX指数は85.47まで上昇しました。この様に投資家が市場に不安や恐怖を抱いている時に上昇する数値なので、日本語では「恐怖指数」と呼ばれており投資家心理を数値化したもの言えます。
VIX指数は、シカゴ・オプション取引所(CBOE)が発表しています。米国の主要指数の一つである「S&P500」を対象とするオプション取引の値動きをもとにVIX指数を計算しています。S&P500はニューヨーク証券取引所(NYSE)やナスダック証券取引所に上場している銘柄から代表的な500銘柄の株価を浮動株調整後の時価総額比率で加重平均し指数化したものです。S&Pダウ・ジョーンズ・インデックス(S&P DJI)が算出しています。VIX指数は米国株を対象としているので、米国市場の先行きの不透明感が高まり相場が下落するとVIX指数は上昇します。
VIX指数の上昇は、米国株式相場の急落の前兆だとする見方もあります。相場が堅調にも関わらず、VIX指数が上昇している場合、相場の先行きを警戒してる投資家が増えていると考えることもできます。また、VIXが10台で低迷しているときは、相場に楽観ムードが漂い、短期的な相場の天井圏であるとの見方もできます。https://9b4dee8b7ca948e3d8a7e9fa533f6af6.safeframe.googlesyndication.com/safeframe/1-0-38/html/container.html
■VIX指数の値動きの特徴
過去にVIX指数が大きく上昇した例をみてみましょう。
このようにVIX指数は株式市場の動向を読み解く上での重要な指数です。
相場が下落し相場の変動性が高まるとVIX指数は高くなります。上の表にもあるよう2008年10月リーマン・ショックで相場が急落した局面では、VIX指数は89.53まで上昇ました。これはVIX指数の過去最高値になります。リーマンショック時のVIX指数は一気に上昇しました。その後50を割るまでに1~2カ月程度かかり、完全に落ち着くまでに1年以上の時間を要しました。2020年3月の新型コロナショックの相場下落局面ではVIX指数は85.47とリーマンショックとほぼ同じ水準まで上昇しました。2020年11月は25前後で推移しています。
■VIXを使った取引
VIXは指数であり、それ自体を売買することはできませんが、VIXの短期先物指数に連動した上場投資信託(ETF)である「国際のETF VIX短期先物指数」(1552)があります。
相場が大きく下落し、相場の変動性が高まりそうだと想定するなら、VIX連動ETFを買うことは投資戦略のひとつです。実際に相場が急落し、VIXが上昇したタイミングでETFを売れば値上がり益が出ます。ただ、予想に反して相場の下げが限定的だったり、相場の変動性が小さい場合は損失が発生する可能性もあるので投資する際には注意が必要です。また、先物型ETFのリスクとして、限月交代時の調整により、時間が経過するほど価値が減少していくことがあります。紹介したVIX連動ETFも長期保有には不向きですので、注意してください。
また、上場廃止になりましたが、「VIXインバース」「VIXベア型」と呼ばれる、VIXが下がれば下がるほど投資収益を得られる上場投資証券(ETN)が過去に上場していました。このETNは、反対に株式相場が急落し、VIXが急上昇すると、ETNの価格が急減します。実際、2018年2月の米株式相場の急落時には、たった一晩で96%も価値が吹き飛び、強制償還条項に従って繰り上げ償還、つまり上場廃止となりました。このように、商品性が複雑なものは思いもかけぬ損失に合うケースもあるため、投資には注意が必要となります。
■日本にはVIX指数はあるのか?
これまで紹介したVIX指数は米国のS&P500をベースに算出したものですが、日本にも同じような恐怖指数があります。日本では「日経平均VI」と呼ばれています。
日経平均VIは、日経平均ボラティリティ・インデックスの略語です。大阪取引所に上場する日経平均先物と日経平均オプションの価格をもとに日本経済新聞社がリアルタイムで算出・公表しています。投資家が日経平均株価の将来の変動をどのように想定しているかを表した指数です。例えば日経平均VI が 30 の場合は、1 年後に日経平均がプラスマイナス 30% 変動する可能性が 7 割程度あることを意味します。これは 1カ月換算でプラスマイナス 8.6%の変動を示します。
日経平均の値動きが先行き荒くなるとみる投資家が増えると日経平均VIは上昇し、反対に膠着相場が 続くとみられると低下します。下記は日経平均VIの長期(2007年1月~2020年11月)の月足チャートです。通常は20~30程度のレンジ内で上下していて、日経平均株価が下落する局面で日経平均VIが上昇していることが分かります。30が一つの目安とされており、30を上回る状況が続くと相場急落を意識している投資家が多いと言われています。過去の事例では、2008年のリーマン・ショックによる相場下落時は日経平均VIは92、2011年の東日本大震災の直後には70に迫る水準まで上昇しました。2020年の新型コロナショックで相場が急落した時も日経平均VIは46と大きく上昇しています。この様に日経平均が下落する時に日経平均VIは上昇しており、日経平均と日経平均VIはおおむね逆相関の関係にあると言えます。
■日経平均VIを使った取引
VIX同様、日経平均VIは指数でそれ自体を売買することはできませんが、日経平均VIを原資産にした日経平均VI先物が大阪取引所に上場しており、これをネット証券などを通じて売買することができます。また、日経平均VI先物指数に連動したETN(2035)も上場しています。
VIX関連商品同様、相場が大きく下落し、相場の変動性が高まりそうだと想定するならVI先物や連動ETNを買うことは投資戦略のひとつです。実際に相場が下落し、日経平均VIが上昇したタイミングでVI先物を売れば値上がり益が出ますが、予想に反して相場の下げが限定的だったり、相場の変動性が小さい場合は損失が発生する可能性もあります。
■まとめ
VIX指数はマーケット全体の心理状態が反映されます。ですから、市場参加者が今後の相場の変動性をどう予測しているのかを知りたい場合は有効な手段です。ただし、日経平均VI先物自体を取引する場合、例えば相場が予想に反して安定すると損失が発生する可能性があるので、慎重なリスク管理をしましょう。
2024/8/5 VIX指数 第二のブラックマンデーで上がった。