8月

2022-0809-相場観察-岸田首相が内閣改造-

特にイベントはなし。

ドル・円は135円回復、実需の売りで一時下落も米CPI控え底堅い
2022年8月9日 8:23 JST 更新日時 2022年8月9日 15:12 JST
東京外国為替市場のドル・円相場は底堅く推移。お盆休みを前にした国内実需のドル売りなどが指摘される中、一時1ドル=134円台後半へ弱含んだが、米利上げペースを占う上で注目の米消費者物価指数(CPI)の発表を10日に控えて下値は固く、135円台を回復した。

ドル・円は午後3時10分現在、前日比0.1%高の135円05銭。午前の取引で134円67銭まで下落した後、一時135円10銭まで回復
ドル・円相場と米10年債利回り

市場関係者の見方
クレディ・アグリコル銀行の斎藤裕司外国為替部長

まもなくお盆休みに入るところが多く、それを前に実需の売りが出ているようだ
135円ちょうどから同前半にはまとまった規模のオプションが設定されており、135円台では戻り売りも出やすい
一方で、あすの米CPIはどちらに振れるかわからない。このため、ポジションを傾けることはできず、ドル・円の一方的な下げもないだろう
三井住友信託銀行ニューヨークマーケットビジネスユニットの土井健太郎主任調査役

米国時間はニューヨーク連銀調査のインフレ期待低下がドルの重しとなったところもあったが、基本的に米CPIを控えて動きにくい相場
米CPIは、原油価格の下落でエネルギー込みの部分が下がることがある程度予想される中で、コアがどうなるかが注目
表面的には弱く出るかもしれないが、中身はまだまだインフレ基調が残っているという形になることへの警戒感はある
背景
8日の米国債市場で10年債利回りは7ベーシスポイント(bp)低下し2.76%前後。9日アジア時間は一時2.7681%
米インフレ期待が急低下、NY連銀調査-金融当局の懸念和らぐ可能性
米国のインフレ、ピーク視野に-その後の展開巡って見方割れる
最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中 LEARN MORE

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-08-08/RFVT0AT0AFB401

岸田首相が内閣改造へ、安倍氏死去の「力の空白」が政権運営に影響も

広川高史2022年8月9日 6:00 JST

  • 旧統一教会と議員の関係も悩みの種に、世論の8割「解明必要」
  • 金融・財政政策にも安倍氏不在の影、リフレ派は後ろ盾失う
Fumio Kishida, Japan's prime minister and president of the Liberal Democratic Party. Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg

岸田文雄首相は10日にも内閣改造・党役員人事に踏み切る。「新しい資本主義」の具体化や物価高対策に新体制で臨むが、自民党最大派閥の長として首相を支えた安倍晋三元首相の死去で生じた「力の空白」の影響は、今後の政権運営から日本銀行の金融政策に至るまで幅広く及ぶ可能性がある。

  「誰一人現状では全体を仕切るだけの力もカリスマ性もなく、今後どう『化けて行く』のかが注視されます」。甘利明前幹事長は7月20日付の国会リポートで、衆目の一致する後継者が不在とされる安倍派の現状を指摘した。

  安倍派は当面、現体制を維持する方針を確認しているが、内閣改造を機に100人近い勢力の同派内に不協和音が生じれば、岸田首相の政権基盤が揺らぎかねない。同派は会長交代を機に分裂した歴史がある。

  日本大学の岩井奉信名誉教授は「大きな派閥がもめると岸田首相が巻き込まれる可能性がある。以前だったら安倍元首相と話がつけば終わったが、誰と話していいのか分からなくなるので、人事も慎重に進めなければいけない」と述べ、岸田首相は安倍派との関係に苦慮するとの見方を示した。

Japan Prime Minister Fumio Kishida News Conference After Election
岸田文雄首相(7月11日、自民党本部)Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg

  悩みの種となるのが安倍派に多いとされる「世界平和統一家庭連合(旧統一教会)」と何らかの接点を持っていた議員の処遇だ。岸田首相は6日の記者会見で問われ、「国民の皆さまに疑念を持たれることがないように、社会的に問題が指摘されるような団体との関係については十分注意しなければならない」と述べた。

  当初9月上旬と報じられていた改造時期については新型コロナウイルスや物価高への対応、ウクライナ・台湾情勢などを挙げ、「さまざまな課題を考えると、とにかく新しい体制を早くスタートさせたいと常々、思っていた」と説明した。

  共同通信が7月30、31両日に行った全国電話世論調査では、岸田内閣の支持率は51.0%で同月11、12両日の前回調査から12.2ポイント急落し、昨年10月の内閣発足以来最低となった。旧統一教会と政界との関わりについて、実態解明の「必要がある」は80.6%に及んだ。安倍氏の国葬を行う決定については「反対」「どちらかといえば反対」が合わせて約53%となった。

  NHKによると、岸田首相は、内閣改造で安倍派の萩生田光一経済産業相について留任を含め重要閣僚や党4役といった要職で引き続き起用する方向で最終的な調整を進めている。同派の松野博一官房長官、党役員人事で麻生太郎副総裁、茂木敏充幹事長を続投させる意向を固めており、政権の骨格を維持する方針という。

  自民党各派の勢力は以下の通り。

安倍派茂木派麻生派岸田派二階派森山派
  97  54   51   43   43  7

出所:時事通信(4日)

緩和推進派の勢力後退も

  積極的な金融緩和でデフレ脱却を目指すリフレ派の後ろ盾だった安倍氏不在の影響は、日銀の金融政策を巡る党内議論にも波及しそうだ。

  第2次安倍政権前から緩和推進で連携していた山本幸三前衆院議員は、安倍氏が積極的に訴え始めてから党内での理解が広がったと指摘する。「金融政策に関心がなかった人もリフレ的な議論に引っ張る力を持っていた」と振り返り、緩和推進派が勢力を維持できるか心配だ、と話していた。

  安倍氏は生前、来年4月に任期満了を迎える黒田東彦日銀総裁の後任人事について「次の総裁もしっかりとしたマクロ経済分析ができる方にやってもらいたい」と述べるなど関心を寄せていたが、影響力を行使できなくなった。

  岸田首相は3月の国会審議で、黒田総裁の後任に関し、2%の物価目標に「理解のある方が望ましい」と発言したが、その後は物価高の進行や日米金利差の拡大による円安など日銀の金融政策を巡る環境は変化している。

  野村総合研究所の木内登英エグゼクティブ・エコノミストは7月11日付のコラムで、「岸田政権は正常化策も視野に入れて、いわば自然体の総裁人事を行うのではないか」と指摘。現政権で「リフレ派が新総裁に指名される可能性はかなり低い」との見方を示した。

防衛費 

  岸田政権下では経済財政運営を巡り、安倍氏が最高顧問だった「財政政策検討本部」と麻生副総裁が最高顧問の「財政健全化推進本部」のメンバーが、骨太の方針での基礎的財政収支(PB)黒字化目標の扱いなどで、さや当てを繰り広げてきた。安倍氏は積極財政派の代表的存在だったが、自らの政権で財務相を務めた麻生氏との信頼関係は維持していた。

  年末の予算編成に向けては、岸田首相が「相当な増額」を確保すると表明した防衛費の財源を巡る調整が難航する可能性がある。

  自民党の宮沢洋一税制調査会長は7月に出演したBSテレ東番組で財源に関して「本当に防衛費がそこまで必要であれば、社会保障の水準を少し切り下げてもいいのかどうかという議論は当然しなければいけない」と社会保障費の削減案に言及。エコノミストからは増税案が浮上するとの見方も出ている。

  安倍氏が後押ししていた若手議員有志の「責任ある積極財政を推進する議員連盟」で共同代表を務める中村裕之衆院議員は、増税で賄うことは「今の経済状況の中で愚策だ」と反対する考えを示している。共同通信によると、安倍氏は財源について「国債で対応していけばいい」と発言していた。

  元自民党職員で政治評論家の田村重信氏は、安倍氏が果たした役割について「政策で注文も付けるが、責任を持って抑えるところは抑えた。今までは安倍さんに頼っていればよかった」と分析している。岸田政権の今後に関しては「岸田カラーを出し、国民に評価される政策運営をやらないと支持率は下がっていくだろう」と述べた。

8/6の雇用時計の急騰から結果半値戻しした。

-8月